鉄道の全線定期券運賃は、通勤定期の最長区間運賃よりも常に高く得にはなりません。
決まった区間、経路で移動する方は、普通に通勤定期を買うほうが良いでしょう。
全線定期券がお得になるのは、例えば定期券に記載された区間以外の駅へ乗り越すことが多い方です。
他にも、同じ鉄道会社の電車・バスを乗り継ぐ方や、家族がそれぞれ通勤定期を持っている方も、得になる場合があります。
鉄道会社の全線定期券とは
発行する鉄道会社の路線内に限って、区間や経路に関係なく乗り放題の定期券です。
東京メトロ、都営地下鉄、名古屋市交通局(地下鉄+バス)、大阪メトロ(地下鉄+バス)、京都市交通局(地下鉄+バス)や、その他大都市の市営地下鉄で一般に発売されています。
また大手私鉄を中心に、株主優待の一つとして全線定期券を株主に贈っています。
大手私鉄の東武鉄道、西武鉄道、京王電鉄、小田急電鉄、東急電鉄、京浜急行電鉄、相鉄、京成電鉄、名鉄、阪急電車、阪神電車、近鉄電車、南海電車、京阪電車、西鉄は、全線定期券を発行しています。
通勤定期よりお得?
残念ながら、通勤定期の最長区間運賃よりも全線定期運賃は高く、単に通勤定期を置き換えるだけでは得になりません。
全線定期券を一般に発売する下記の五社は、全線定期券の運賃のほうが約2,000円~8,000円高くなっています。
通勤定期一か月 最大運賃 | 全線定期一か月 運賃 | |
東京メトロ | 9,690円 | 17,670円 |
都営地下鉄 | 13,670円 | 15,490円 |
名古屋市営地下鉄 | 17,110円 | 18,970円 |
大阪メトロ | 12,770円 | 17,220円 |
京都市営地下鉄 | 14,970円 | 19,030円 |
しかし、
- 定期外の駅へよく乗り越す
- 同じ鉄道会社の電車とバスを乗り継いでいる
- 家族が別々に同じ鉄道会社の定期を持っている
このような場合、全線定期券のほうが得になる場合もあります。
定期外の駅へよく乗り越す
週に何回も定期外の駅へ乗り越して、そのたびにICカードのチャージから乗り越し運賃を支払っている場合、約2,000円~8,000円の差額は取り戻せる可能性があります。
同じ鉄道会社の電車とバスを乗り継いでいる
市営地下鉄の運営体は市バスも運営していることがあり、その場合、地下鉄・バスの両方を乗り放題の全線定期券を発行するケースが多いです。
もし、市営地下鉄と市バスの定期を別に持っている場合、合算した運賃よりも全線定期券の運賃が安くなる可能性があります。
家族が別々に同じ鉄道会社の定期を持っている
全線定期券の磁気式は、持参人方式と言う種類で、定期券ですが無記名で持っている人がどなたでも使えるようになっています。
よって、もし家族がそれぞれ異なる曜日に通勤するための定期を持っているなら、全線定期券を家族で使いまわすようにすれば、総額が安くなる可能性があります。
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