中学高校古文 定期テスト対策

古文対訳

原文・現代語訳の対比でサクサク読める・わかる

柿の木に仏現ずること - 宇治拾遺物語

 原文と現代語訳の対比図解
昔、延喜の帝の御時、 昔、延喜天皇の御時に、
五条の天神のあたりに、 五条の天神のあたりに、
大きなる柿の木の実ならぬあり。 大きな柿の木で実がならないのがあった。
その木の上に、 その木の上に、
仏現れておはします。 仏が現れておいでになる。

・おはします : いらっしゃる(尊敬語/動詞四段活用)

京中の人、 京中の人は、
こぞりて参りけり。 みんなそろってお参りし。

・まゐる[参る] : 参詣する(謙譲語/動詞四段活用)

馬、 馬や
車も立てあへず、 車も止められず、
人もせきあへず、 人もせき止められないほど、
拝みののしりけり。 大騒ぎして参拝した。

・ののしる : 大騒ぎする[動詞四段活用]

かくするほどに、 こうしているうちに、

・かく : このように(副詞)

・ほど : 間(名詞)

五、六日あるに、 五、六日が過ぎたが、
右大臣殿、 右大臣殿は、
心得ずおぼしたまひける間、 道理に合わないと思いなさったので

・おぼす[思す] : お思いになる(尊敬語/動詞四段活用)

・たまふ[給ふ] : なさる(尊敬語/動詞四段活用)

まことの仏の、 ほんとうの仏が、
世の末に出でたまふべきにあらず、 仏法の衰えた世に現れなさるはずはない、
我、 自分が
行きて試みんとおぼして、 行って試してみようと思われて、
日の装束うるはしくして、 昼の衣装をきちんと着て、

・うるはし : きちんとしている(形容詞シク活用)

檳榔の車にのりて、 檳榔毛の車に乗って、
御前多く具して、 先払いの者を多く引き連れて、

・ぐす[具す] : 連れる(動詞サ行変格活用)

集まりつどひたる者ども退けさせて、 集まり寄り合っている者たちを退去させて、
車かけはづして、 牛車から牛をはずして、
榻を立てて、 榻を立てて、
梢を目もたたかず、 梢をまばたきもせず、
あからめもせずまもりて、 よそ見もせずにじっと見つめて、

・あからめ : よそ見[名詞]

・まもる : 見つめる(動詞四段活用)

一時ばかりおはするに、 二時間ほどおいでになったが、

・おはす : いらっしゃる(尊敬語/動詞サ行変格活用)

この仏、 この仏は、
しばしこそ花も降らせ、 しばらくの間こそ花も降らせ、
光をも放ちたまひけれ、 光をも放たれていたが、
あまりにもあまりにもまもられて、 たいそう度を過ぎてじっと見つめられて、
しわびて、 困りはてて、

・しわぶ : 困り果てる

大きなるくそとびの、 大きなノスリ(?)で、
羽折れたる土におちて、 羽が折れているのが地面に落ちて、
惑ひふためくを、 あわててばたばたするのを、
童部ども寄りて、 子供たちが寄り集まって、
打ち殺してけり。 打ち殺してしまった。
大臣は、 大臣は、
さればこそとて、 やっぱりと思って、

・さればこそ : やっぱりだ

帰りたまひぬ。 お帰りになられた。
さて、 そこで、
時の人、 当時の人は、
この大臣を、 この大臣を、
いみじくかしこき人にておはしますとぞののしりける。 たいそう賢明な人でいらっしゃると、騒がしく言い立てたという。

・いみじ : はなはだしく…だ(形容詞シク活用)

・かしこし[賢し] : 賢い(形容詞ク活用)