中学高校古文 定期テスト対策

古文対訳

原文・現代語訳の対比でサクサク読める・わかる

大事を思ひ立たん人は - 徒然草 (兼好法師)

 原文と現代語訳の対比図解
大事を思ひ立たん人は、 人生の一大事を思い立つような人は、
さり難く、 避けにくく、
心にかからんことの本意を遂げずして、 気にかかるようなことの本来の目的を遂げないで

・ほい[本意] : 本来の目的(名詞)

さながら捨つべきなり。 そのまま全部捨てるべきである。

・さながら : そのまま(副詞)

「しばしこのこと果てて」、 「もうしばらくこの事が終わってから」、
「同じくは、 「同じならば、
かのこと沙汰し置きて」、 あの事もきちんと処理しておいてから」、
「しかしかのこと、 「これこれの事は、
人のあざけりやあらん。 人から軽蔑して笑われることがあるだろう。
行く末難なくしたためまうけて」、 将来何事も問題がないよう整え用意してから」、

・したたむ : 処理する(動詞下二段活用)

・まうく : 用意する(動詞下二段活用)

「年ごろもあればこそあれ、 「長年過ごしてきているのだから、

・としごろ : 長年(名詞)

そのこと待たん、 その事を待ったとしても、
程あらじ。 時間はかかるまい。
物騒がしからぬやうに」など思はんには、 あわてて騒がしくならないように」などと思うような場合には、
えさらぬことのみいとど重なりて、 避けられない用事ばかりがますます積み重なって、

・えさらず : 避けることができない

・いとど : ますます(副詞)

事の尽くる限りもなく、 用事が尽きる終わりはなく、
思ひ立つ日もあるべからず。 実行に移す日もあるはずがない。
おほやう、 だいたい、

・おほやう : だいたい

人を見るに、 世間の人を見ると、
少し心ある際は、 少し物の道理が分かる程度の人は、

・こころあり : 思慮分別がある(動詞ラ行変格活用)

皆このあらましにてぞ一期は過ぐめる。 みんなこのありさまで一生が過ぎてしまうようだ。

・あらまし : 一部始終(名詞)

・いちご[一期] : 人の一生(名詞)

近き火などに逃ぐる人は、 近くの火事などから逃げる人は、
「しばし。」とや言ふ。 「もうしばらく待ってくれ。」などと言うだろうか。
身を助けんとすれば恥をも顧みず、 自分の身を助けようとするなら恥をも気にせず、
財をも捨てて逃れ去るぞかし。 財産も捨てて逃げ去るのだよ。
命は人を待つものかは。 命は人を待ってくれるだろうか。
無常の来たることは、 死がやって来ることは、
水火の攻むるよりも速やかに、 火や水が攻めてくるのよりも速く、
逃れ難きものを、 逃れがたいものであるのに、
その時、 その時には、
老いたる親、 老いている親、
いときなき子、 幼い子、

・いときなし : 幼い(形容詞ク活用)

君の恩、 主君の恩、
人の情、 人の情けが、
捨て難しとて捨てざらんや。 捨てにくいからといって捨てないだろうか。